ユニセフ・ベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏 「ベトナムの子どもたちのために心を一つにして共に歩む 」

ユニセフ・ベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏 「ベトナムの子どもたちのために心を一つにして共に歩む 」

25年以上にわたり多くの国々でユニセフの活動してきたシルビア・ダナイロフ氏は、社会が子どもたちへの投資を選択すれば、その社会は持続的な進歩を遂げると常に信じてきました。2024年8月からユニセフのベトナム代表としての任務を就いた彼女は、ユニセフが今後もベトナムと共に、包摂的で持続可能かつ強靭な未来を築く道のりを歩み続けると述べています。 

世界各国で25年にわたる勤務経験を持ち、現在ベトナムでの任務に就いているユニセフ・ベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏。  撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル

記者:ベトナムでの任務を引き受けた初日に、最も印象に残ったことはどんなことでしたか?また、2年間の勤務を経て、ベトナムの経済、文化、社会生活にどのような変化が見られましたか? 

シルビア・ダナイロフ氏:ベトナムに足を踏み入れた初日から、私が出会った人々や各機関、そして日常の生活の中に、ポジティブなエネルギーと楽観的な精神が広がっているのを感じました。特に、政府の力強い改革への取り組みと、明確で意欲的な発展ビジョンに深く感銘を受けました。ベトナムの人々、特に若者たちは非常に活発で勤勉、そして温かく親しみやすいと感じました 。

赴任してわずか数か月後、過去70年間で最強の台風ヤギが多くの地域に深刻な被害をもたらした際に、これらの最初の印象がより鮮明に裏付けられました。遠隔地では、家や学校を失った家族、生活が一変した子どもたちに出会いました。しかし、私が最も心を打たれたのは、その回復力でした。どんなに困難な状況でも、子どもたちは笑顔を絶やさず夢を育み、家族は立ち上がり、生活を再建しようと決意しました。 

今日のベトナムは、自信を持って近代化を進め、社会の進歩を着実に追求し、文化的アイデンティティを誇りにしながらも世界に開かれた国です。何よりも、国民、特に若い世代の向上心によって導かれる、希望に満ちた国です。 

農業環境省および日本大使館との協力覚書調印式に出席するユニセフ・ベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏。  撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル
日本大使館および農業環境省の関係者との会合で、災害対応における子どもの保護について意見交換を行うユニセフ・ベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏。  撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル

記者:ベトナムは現在、社会および行政のガバナンス改革を積極的に進めています。特に教育分野におけるこれらの変化は、子どもたちがグローバルな知識にアクセスし、困難な状況にある子どもたちが学校に通い、十分な栄養を確保するうえで、どのような意味を持つとお考えですか?

シルビア・ダナイロフ氏:最近の改革は、包摂的で現代的、そして未来を見据えた教育システムを目指す明確な方向性を示しています。義務教育の授業料免除や初の教員法の公布は、教育の重要な役割を再確認し、教職員の地位を称える戦略的な一歩です。 

教育を優先し、科学技術やデジタル変革を推進するための各決議は、ベトナムの子どもたちがグローバルな知識にアクセスし、デジタル時代と人工知能の時代に必要なスキルを身につけるための機会を開いています。同時に、ベトナムは幼児期からの平等にも特に力を入れており、幼児教育の普及拡大や多くの労働者家庭が集中する工業団地や都市部への投資を行っています。 

質の高い教育が栄養や包括的なケアと結びつくことで、子どもたちは学びと健やかな成長のための確かな基盤を築くことができます。こうした改革は、ベトナムが子どもの権利と人間開発に強く取り組んでいることを示しており、国家の進歩はすべての子ども、特に弱い立場にある子どもへの投資にかかっているという明確なビジョンを持っています。 

 

ユニセフベトナム代表のシルビア・ダナイロフ氏と在ベトナム日本国大使の伊藤直樹氏は、プロジェクト「ベトナムにおける防災教育の統合を通じた、自然災害および気候変動リスクに対する子どもたちのレジリエンス強化」に署名した 撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル
ユニセフ、ベトナム農業環境省、そして在ベトナム日本国大使館が協力して実施するプロジェクト「ベトナムにおける防災教育の統合を通じた、自然災害および気候変動リスクに対する子どもたちのレジリエンス強化」。撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル

記者:ベトナムに特別な思いをお持ちので、ベトナムとユニセフのパートナーシップをさらに促進するために、どのような取り組みを行う予定ですか。 

シルビア・ダナイロフ氏:まず第一に、私は社会分野への強力で安定的かつ持続可能な公共投資を引き続き働きかけ、すべての子どもたち、特に脆弱な立場にある子どもたちが、質の高い医療、教育、清潔な水、衛生、そして児童保護サービスを受けられることを目指します。

また、民間セクターとの協力を拡大し、革新的な資金調達を促進し、責任あるビジネス慣行を推進することで、子どもの権利の強化を目指しています。 同時に、教育、医療、社会保障の改革が真に包括的で公平かつ子ども中心としたものとなるよう、各省庁との緊密な連携を強化していきます。

もう一つの重要な優先事項は、子どもや若者が政策立案プロセスに真に参加できるプラットフォームを通じて、彼らの声を高めることです。 子どもたちの意見に耳を傾け、その視点に基づいて行動することは、彼ら自身のニーズと願いに応える未来を築くために不可欠です。 

ベトナムとユニセフの協力50周年記念式典に出席するシルビア・ダナイロフ氏とレ・タイン・ロン副首相 。 撮影:資料
シルビア・ダナイロフ氏は、台風3号(ヤギ)で被災した省・市への緊急支援および安全な水と衛生設備の復旧に関するユニセフの資金提供の誓約式に出席した。  撮影:資料
ユニセフの同僚たちと記念写真を撮影。 撮影:資料

記者:ユニセフは、特に教育と人材育成の分野において、ベトナムの子どもたちをどのように支援してきましたか?

シルビア・ダナイロフ氏:ユニセフは過去50年間にわたり、ベトナムと共に歩んできました。私たちは、初等教育への就学率の大幅な向上、初等・中等教育における男女平等の着実な維持、そしてベトナムの児童が地域および国際的な評価で優れた成果を収めているという顕著な進歩を目の当たりにし、その発展に貢献できたことを誇りに思います。

近年、最も注目すべき支援分野は幼児教育です。 ユニセフはベトナム教育訓練省と協力し、子どもを中心に据えた新しい幼児教育プログラムを構築しました。このプログラムは「遊びを通じた学び」の手法に基づき、社会的および情緒的スキルの発達に重点を置いています。 現在、このプログラムは全国展開に向けた試行段階にあります。

ユニセフはまた、ジェンダー平等教育とインクルーシブ教育を推進し、女子がSTEAM(科学・技術・工学・芸術・数学)の分野に参加することを奨励しています。さらに、教育分野における女性のリーダーシップの強化を図るとともに、障がいのある子ども、少数民族の子ども、移民の児童、その他の脆弱な立場にある子どもたちへの支援も行っています。

今後、私たちは教育分野におけるデジタル変革の推進を引き続き協力して進め、性別、居住地、または家庭環境に関係なく、すべての子どもがデジタル学習ツールにアクセスし、デジタルスキルを身につけ、オンライン環境で安全性を確保し、グリーン成長とテクノロジーが結びついた未来に向けて準備できるよう努めていきます。 


 

シルビア・ダナイロフ氏は2024年8月よりユニセフ・ベトナム事務所代表に就任した。 開発および人道支援分野で25年以上の経験を持つ彼女は、子どもと女性の保護と支援の強化に尽力することを約束した。 セルビアとスイスの二重国籍を有し、政治学の学士号と国際公法を専門とする国際関係学の修士号を取得している。 

 

ベトナムの子どもたちと語り合うシルビア・ダナイロフ氏。  撮影:資料
 

記者:今後、ユニセフはベトナムとの協力において、どのような分野を優先して取り組んでいく予定ですか。

シルビア・ダナイロフ氏:2027年から2031年にかけて、ユニセフとベトナムの協力プログラムは、急速に変化する経済、力強いデジタル変革、そして気候リスクの増大という状況の中で、子どもを中心に据えます。

第一の優先事項は、乳幼児期から青年期に至るまでの人材育成です。これには、栄養、質の高い教育、スキルの習得、そしてメンタルヘルスの向上が含まれます。 

第二の優先事項は、児童保護システムの強化、特にオンライン環境における暴力を含む暴力の予防と対応、政策の効果的な実施、そして子どもたちの声が確実に届くようにすることです。

気候変動も重要な分野です。 ユニセフは子どもを中心に据えた適応策を推進し、安全な学校の整備、より強靭な清潔水と衛生システムの整備、汚染から子どもを守る取り組み、そして環境ショックに対応できる社会サービスの能力強化などです。

すべての子ども、男女を問わず教育、発達、自らの可能性を最大限に発揮できる機会を得て初めて、ベトナムは人間という貴重な資源を真に活用できるのです。 

文:ビック・ヴァン
撮影:タイン・ザン/ベトナムフォトジャーナル


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